ふなちゃんの音楽ジャングル

VOL . 181 追悼“クイーン・オブ・ソウル"

A BRAND NEW ME/Aretha Franklin

 「クイーン・オブ・ソウル」と呼ばれたアレサ・フランクリンが、8月16日の朝、デトロイトの自宅にて逝去しました。その訃報を知った夜、私が聴き入ったのは『ABRAND NEW ME』というアルバムでした。昨年11月にリリースされたアルバムで、往年のアレサの名曲にロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラによるオーケストレーションやゴスペル・クワイアを新たに加えたものです。
 1942年3月25日、メンフィスに生まれたアレサ。お父さんは牧師で、お母さんはゴスペル・シンガーでした。2歳のときにデトロイトへ引っ越しましたが、お父さんが教会で人気の説教者となったこともあって、家にはエラ・フィッツジェラルドやデューク・エリントンらも訪れたのだそうです。そして、1960年にコロムビア・レコードと契約し、1966年にアトランティック・レコードに移籍。第一弾シングル「貴方だけを愛して(I Never Loved A Man)」のヒットから勢いに乗り、翌年、オーティス・レディングの「リスペクト」で全米1位を獲得して一躍スターの座に躍り出ました。当時の公民権運動やフェミニスト運動の賛歌ともなったのです。キャロル・キングの「ナチュラル・ウーマン」やバート・バカラックの「小さな願い(I Say A Little Prayer)」、サイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」などのヒット曲でわかるとおり、もはや単なるカヴァーとは言えない出来映えで、それこそが「アレサ」なのです。彼女が歌えば、それはオリジナルの輝きを放つのです。
 1981年に日本で公開された映画、『ブルース・ブラザーズ』が大好きでした。ソウル・フード・レストランの女将役だったアレサが、コーラス3人娘を従えて歌う「シンク」が忘れられません。続編である『ブルース・ブラザーズ2000』では、ベンツのディーラーの女社長に出世してたっけ。
 2009年、オバマ前大統領の就任式でパフォーマンスを披露したことを覚えている方も少なくないでしょう。アレサが音楽で大きな影響を与え続けてきた公民権運動が、ついに結実した瞬間だったと思いました。さあ、76歳で逝ったクイーン・オブ・ソウルを、心から追悼いたしましょう。


船守秀一(音楽プロデューサー・http://www2.odn.ne.jp/obbligato/)

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