ふなちゃんの音楽ジャングル

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もういいかい、まあだだよ。

小椋佳/もういいかい

  昨年の12月23日、JR我孫子駅南口にある「けやきプラザ」で催されたイベントのフィナーレで、「あびこ市民の歌」を中学生たちと歌った小椋佳。シンガーとしてだけではなく、ソングライターとしては「シクラメンのかほり」(布施明)、「俺たちの旅」(中村雅俊)、「夢芝居」(梅沢富美男)、「愛燦燦」(美空ひばり)などの大ヒット曲を書いた偉大なるアーティストです。
 1月に77歳の誕生日を迎えたばかりの小椋佳。2014年には、4日間連続、しかも1曲も重複しない100曲を歌うという「生前葬」と銘打たれたコンサートを行ったことでも知られます。彼が「死」を意識するようになったのは、胃がんで大手術を行ったことや、生死の淵をさまよった劇症肝炎から生還したという経験からくるのでしょうか。それでも「挑戦という言葉が好きだ」とも語っているように、その活動は変わらず意欲的に感じられます。
 昨年、映画『山中静夫氏の尊厳死』に主題歌「老いの願い」を提供した時のインタビュー記事では、「黒澤明さんの最後の映画は『まあだだよ』。今度のツアーのタイトルは『もういいかい?』にしようかな」と茶目っ気たっぷりに語っていたと記されているのですが、今回ご紹介するニューアルバムのタイトルが『もういいかい』なんです。彼の特長の一つである、美しい日本語で紡がれた歌詞と、味わい深い歌声で歌われる曲たちに、私はやさしく諭されているような気持ちになるのです。
 ちなみに、彼が全曲書き下ろした林部智史のアルバムも同じ日にリリースされました。そして、そのタイトルが『まあだだよ』なんですよね。


船守秀一(音楽プロデューサー・http://www2.odn.ne.jp/obbligato/)

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