朝日新聞柏支局長のコラム
がんばれ地元の力士
「もう、夢見心地ですよ」。11月の大相撲九州場所は、柏相撲少年団(柏市)に絡む3力士が終盤まで優勝争いをした。団で指導する永井明慶代表は千秋楽、福岡に駆け付け観戦し、教え子たちの姿を目の当たりにした。
琴桜と隆の勝は、ともに団の出身。豊昇龍は、永井さんが柏の高校で教員だった頃に指導し、入門後も団を時々訪れ汗を流す。かねてより角界で上位を目指すと口にしていた琴桜と豊昇龍が活躍する姿に永井さんは目を細めた。勝負に対するこだわりがあまりないように見えた隆の勝が頭角を現したのに驚きもしていた。
私の故郷、北海道で横綱を輩出した地は、北の富士が道北、北の湖が道央、千代の富士は道南、北勝海は道東。それぞれ数百キロ離れ、同じ地域と呼ぶのは苦しい。だけど「北海道出身」とアナウンスされるたび、私は「同郷」に胸を張った。
同じ東葛地域の空の下で生活してきた力士たちの活躍に、胸を躍らせている人は、きっと多いことでしょう。
来年1月12日から初場所が始まる。琴桜は横綱昇進がかかり、豊昇龍も同時昇進の可能性がある。隆の勝は初優勝を目指す。新春、松戸や柏で祝賀パレードが見られるのを心待ちにしている。
朝日新聞柏支局長 斎藤茂洋