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朝日新聞柏支局長のコラム

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脱ハンコ

 初めて実印を作ったのは、20代のころだったか。何かの手続きでどうしても必要になった。家族から、役所に登録するとても大切なハンコと聞き、ハンコ店で奮発して買った。「少し大人になった気分」になったのを覚えており、今も大切に使っている。
 実印まで含まれるかどうかは分からないが、新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに、「脱ハンコ」の動きが加速している。在宅勤務(テレワーク)が広がる中、ハンコを押すためだけに出社するのはテレワーク定着を妨げる、などが理由という。感染リスクを防ぐためにスマートフォンでの電子署名サービスなどに切り替える企業が出てきた。
 官公庁でも、河野太郎行政改革相は行政手続きでハンコを使用しないように全府省に要請。環境省は慣例的にハンコを求めてきた省内の手続きで、押印を不要にすることを決めた。菅政権が掲げる「あしき前例主義の打破」の一環という。
 個人的には、ハンコには「安心感」や「信頼感」を持っている。一方でサインにも信頼性を感じたのは、海外出張中に「あなたのサインは、クレジットカードのものと違うのでは」と言われ、丁寧に書き直して誤解を解いた時だ。「ハンコのため出勤」のような無駄はなくなって欲しいが、文化としてのハンコは使い続けていきたいと思う。

朝日新聞柏支局長 石原剛文

   

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