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朝日新聞柏支局長のコラム

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退く理由、信じたい

  菅義偉首相が横浜市議だった時、私は横浜市政取材を担当する記者だった。私の取材力不足と仕事の要領の悪さから、会う機会も、話をする機会もなかった。同僚が取材しているという話は聞いていた。「国会議員の秘書だった人で、細かい気配りができる人」。当時、そんな人柄を語ってくれる人もいた。
 菅氏は1996年の衆院選で初当選し、私はまもなく転勤で横浜を離れた。時が経ち、官房長官として記者の質問を受ける姿をひんぱんに見かけるようになった。そして首相になり、「横浜の街のどこかで、すれ違ったかもしれない人が……」と不思議な感覚になった。
 菅氏が9月3日、自民党総裁選(9月29日投開票)に立候補しないことを表明した。それまでは「出馬するというのは、時期がくれば当然のことだ」と立候補する意欲を示しており、前日の2日にも立候補の意向を党内で伝えたことが報じられていた。「政界は『一寸先は闇』といわれているが、その通りだな」。神奈川県内の自治体トップからは、そう受け止める声も聞かれた。
 内閣支持率は当初6割を超えたが、新型コロナウイルスへの対応をめぐり「後手」批判を浴びた。退陣の理由は「新型コロナ対策に専念をしたい」。コロナ収束のために、その言葉は信じたい。

朝日新聞柏支局長 石原剛文
 

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