ふなちゃんの音楽ジャングル

斉藤和義/「55STONS」

　2月26日に公開された映画『半径1メートルの君～上を向いて歩こう』で、主題歌「上を向いて歩こう」をカヴァーしている斉藤和義。日本のポップスとしては唯一となる、アメリカのビルボード・チャートで1位を獲得したみなさんよくご存知の名曲ですが、さすがと唸らせる素敵な主題歌でした。
　彼のヒット曲は数あれど、私がとくに印象的だったのは「ずっと好きだった」です。2010年4月に発売されたこの曲は、資生堂のテレビCMのために書き下ろされました。「よみがえれ、私。」と、80年代に活躍したトップアイドルである、薬丸(石川)秀美、伊藤つかさ、荻野目洋子、河合その子が彼の曲に乗って登場するこのCM、同年代の方々はとくに記憶にあるんじゃないかな。彼曰く「同窓会で好きな女性と再会してドキドキするイメージで作った」というキャッチーで素敵な曲でした。しかしなぁ、もう10年以上も前のことなのか……とちょっぴり愕然とした私です(苦笑)。
　さて、そんな彼も去年2月からの全国ツアーの予定が、新型コロナの影響によって延期になってしまいました。その自粛期間に曲作りを始めたというアルバムがリリースされました。今年55歳となる斉藤和義がじっくりと時間をかけて制作した『55 STONES』には、日本盲導犬協会CMタイアップ曲の「一緒なふたり」や、テレビ朝日「じゅん散歩」のテーマソング「純風」などが収録され、彼らしさが全面に出たキラキラと輝く全12曲。中でも「今」を表現した「2020 DIARY」は、共感するとともに心に深く残りました。こんな厳しいときだけど、元気にいこうぜと勇気をもらえる作品なのです! わおっ!!

船守秀一（音楽プロデューサー・http://www2.odn.ne.jp/obbligato/)