ふなちゃんの音楽ジャングル

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唄者の世界を垣間見るべし。

元ちとせ/『虹の麓』

 「島唄」といえばTHE BOOMの名曲ですね。そのせいか、「島唄」は沖縄の民謡を指すことばだと思っている人が多いように思います。実は、本来は奄美の民謡を指すことばなんです。で、その場合の「島」は「Island」の意味ではなくて「集落」という意味なんです。その違いをはっきりさせるために、奄美の民謡のことは「シマ唄」とカタカナで表記することが多いようです。そして「シマ唄」は高い音で唄い演奏されるので、奄美の三線の弦は細く高い音が鳴ります。また、裏声を使ってこぶしを効かせる(この技法を「グィン」と言います)歌い方が特徴で、そのためか、女性の唄者(うたしゃ。シマ唄の歌い手、名手をいう)が基本的には多いのです。
 その唄者の代表ともいうべき元ちとせの、なんと14年ぶりとなるオリジナルアルバム『虹の麓』がリリースされました。「ワダツミの木」でデビューしたのは2002年のことでしたが、私はすぐに大ファンになりました。「いつか風になる日」も好きだったなあ。フランスの音楽ユニット、ディープ・フォレストのアルバムに参加したり、アイルランドの伝統音楽グループの全国ツアーに参加するという活動には、どこか誇らしいような気持ちで応援していましたっけ。
 そして新譜では、豪華アーティスト・クリエイター陣が参加していて、出色の出来栄えなのです。聴き入っていると、「秋来(き)ぬと目にはさやかに見えねども、風の音にぞおどろかれぬる」って気分になること請け合いです。


船守秀一(音楽プロデューサー・http://www2.odn.ne.jp/obbligato/)

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