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ひとりがすきなんだもん

菅原 当栄 鎌ケ谷市 主婦・71歳

 

 私はさきちゃん10さいの女の子です。さきちゃんはいつもひとりぽっち。ひとりでいろんなことをするのがすきなのです。さきちゃんのすきなことはひとりでまちをさんぽすること、ひとりでかわいいおみせに行っていろいろなものを見ること、ひとりでしずかに本をよむこと、ひとりで花に水をやること……なんでもひとりで自由にしているのが大すきです。
 学校でもいつもひとりです。体育かんで朝会がはじまる前は校ていのてつぼうの上にちょこんとすわり、みんながワーワー言って楽しそうにわらいながらあそんでいるのを見ているのがすきです。給食のあとはと書室で本をよんでいるのがすきです。友だちがいなくてもぜんぜんへいき。だってひとりで自由にしていることがすきなんだもん。
 さきちゃんはまい日のんびりとおだやかにくらしているのですが、こまったことがひとつあります。それはお母さんとお父さんがお友だちとあそんだらいいのにって言うことです。
 ある日さきちゃんはそらの上にいるかみさまにメールをしてみました。「かみさまおしえて。世かい中にはひとりが大すきって思っている子どもたちが、あっちにもこっちにもいるのかしら」「そうよ、いろいろな子どもがいるわよ、さきちゃんはどんなことでもいっしょうけんめいやってみたり、かんがえてみたりして心のつよい、やさしい人になってね」「はい、ありがとうかみさま。私がんばってみるわ。またメールしますね」「げんきでいてね。さきちゃん」さきちゃんはホッとしました。
 そして きょうもさきちゃんはひとりでさんぽにでかけました。あーきれいなおそらだわウフフフ……。

 

童話作家緒島英二さんより

 個という存在が、大きくクローズアップされています。「ひとり」という視点を逆説的に捉えて、作者の工夫を感じます。

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