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月食と惑星食

ペンネーム 八風(流山市 自由業・47歳)

 

銀河先生が、大きな声でいいました。
「はい、前へならえ!」
すると、太陽のうしろに、地球がならびました。ところが、月はというと、あちらへ行ったまま、ぜんぜん、列にならぼうとしないのです。
銀河先生が、月にいいました。
「前へ、ならえ! ほら、ちゃんと一列にならびなさい」
「やーだよ」月が、いい返してきました。
「なんで、今日にかぎって、そんなことしないといけないんだ」
「今日はね、とくべつな日なのよ」銀河先生はいいました。
「みんなで、一列になって、たくさんのひとに見てもらうの。子どもも、おとなも、みんな楽しみにしているわ。だから、ほら、ならんでちょうだい」「そんなの、しーらない」そういって、月はまた、向こうへ行ってしまいました。
地球が、ふり返っていいました。「ねえ、はやく、ならんでおくれよ」「そうだ、そうだ」太陽もいいました。「何日も前から、そうするって、決まっていただろう? ちゃんと、一列にならないとみんながっかりするぞ」
「いやなものは、やーだよ」「おい、いいかげんにしないとおこるぞ」「へん、太陽なんか、こわくないね」月はいいました。
「いばりんぼうの、おこりんぼう。やれるもんなら、やってみな」「よおし、いったな!」太陽は、かっ、と熱くなりました。
すると、赤いほのおが、あたりに広がって、月のほうへとせまってきたのです。
「わっ、やばいっ」月はあわてていいました。
「地球、たすけてっ」
月は、地球のうしろにかくれました。
そうやって、きちんとかくれたので、太陽から見えなくなって、月はすっぽりと、地球の影につつまれました。
銀河先生はいいました。
「あら、これでいいわ。みんな一列になったわね」 太陽と地球と月がみごとにまっすぐにならびました。
ところが、ずっと向こうを見ると、小さな天王星がまだふらふらしていたので、銀河先生ははずっと大きな声で、こういったのです。
「おおい、天王星、はやく、月のうしろにならびなさい!」

 

童話作家緒島英二さんより

壮大な宇宙を舞台に、個という存在が光ります。ふと、空を見上げてしまいます。

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