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朝日新聞柏支局長のコラム

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忘年会

会社で忘年会の幹事をやったことがある。後輩らと幹事団をつくり、日程や店、予算、進行などを相談、司会もした。準備の段階で意見を出し合うのは楽しい作業で、幹事団同士の距離も近くなった。
 筆者の世代では、忘年会などの社内飲み会は当たり前だった。下の世代になるとそうでもないようで、働き方の変化を取材した時、「社内の飲み会に何の意味があるのか分からない」との声も聞いた。助言をもらったり、話すことで不安が小さくなったりすることもあると思うのだが、大事なのはどうするのかを自由に選べることだ。
 今年の忘年会シーズンは、新型コロナウイルスの影響でそんな自由が奪われつつある。柏市内の居酒屋を取材すると、10人以上の団体予約がゼロだったり、予約は少人数だったりする店もあった。大勢で飲む時は届け出なければならない会社もあるらしい。市内では、午後10時以降の酒類提供自粛要請も出た。
 「厳しかった時期をがまんして、12月で盛り返すという思いだった」。そう話す居酒屋関係者は、10時以降に酒を出すかどうかは客の判断に任せる方針だ。仕事の関係で午後10時以降にしか来店できない客もいるからだが、「ジレンマはある」と打ち明ける。楽しいはずの12月に、客も悩み、店も悩む。今年限りのことであってほしい。

朝日新聞柏支局長 石原剛文

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