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朝日新聞柏支局長のコラム

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キャンパス

 大学生活の大部分を、キャンパスそばのアパートで暮らした。無遅刻無欠席でもおかしくない距離だったが、午前の授業に遅刻したり、間に合わず欠席したりばかりしていた。
 10代は何をしたいのかがわからず、「期待に応えたい」ことばかり考えていた「ニセ優等生」。入学後に大きな反動が来て、1年生のフランス語の単位取得に5年かかった無気力学生になった。充実した大学生活を送る学生もいた。でもなぜか、まわりでは私と同じような学生が目立った。
 年末年始、コロナ禍で奮闘する大学生を取材した。4月から一度も千葉県内のキャンパスに通えていない3年生は、東北の実家でオンライン授業を受けながら、国際交流団体の活動もオンラインで続けていた。米国留学中に帰国した4年生は、午前3時から米国からのオンライン授業に集中していた。いまの大学生は勤勉で、目的意識が高いと再認識した。キャンパスとの距離など関係なかった。
 厳しい環境でも前を向いている学生たちなのだから、キャンパスで直接見たり聞いたりすることが増えれば、さらに充実した学生生活を送ることができるだろう。そのためにも、一日も早いコロナ収束を願う。キャンパスでの出会いや教室で聞いた言葉は、ぐうたらな私にでさえプラスに働いたのだから。

朝日新聞柏支局長 石原剛文

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