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朝日新聞柏支局長のコラム

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鉛筆とタブレット

 学生時代、学校では鉛筆、ペンとノートくらいしか使ったことがない。機械といえば、工作の時間のはんだごてくらい。スマホが登場するなんて想像すらしておらず、パソコンは一部の専門的な知識を持った人たちだけが使っていた。
 ワープロも普及していない時代。ペンで書く提出書類は、間違えないようにゆっくり書いた。検索サイトがないから調べものも大変。ノートは書き漏らさないように必死だった。そうして自分なりのまとめかたを考え、集中力の保ち方を覚えたような記憶がある。
 社会人になって約30年。学校での授業の進め方は大きく変わっていた。野田市の1月の記者会見で、市立小学校・中学校の全生徒がタブレットを持っていると聞いた。授業で使うだけでなく、自宅に持ち帰って宿題にも活用。コロナ禍でオンライン授業を可能にすることにもつながった。授業がハイテク化しているとは聞いていたが、ここまで進んでいるとは、と驚いた。
 機械に頼りすぎると、アナログならではの技術が習得できないのでは。そんな余計な心配をしていたら、「文字を覚えてもらわなくてはならないので、書く作業はなくさない」と鈴木有・野田市長。鉛筆とノートは、今も教室で活躍しているとのこと。「体で覚える」作業は、デジタルの力と共存しているようだ。

朝日新聞柏支局長 石原剛文

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