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朝日新聞柏支局長のコラム

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うらやましい沼辺の専用球場

 「パーンっ」。打者がバットを振り抜くと、白球は音をたて、低い弧を描きながらスタンドに吸い込まれた。4月24日に我孫子市であった少年野球大会決勝の終盤。「わー」という歓声と「あー」というため息が広がった。打者は、静かにぐるりと塁を回った。この本塁打が試合を決めた。
 球場は、手賀沼のほとりにある少年野球の専用で、地元の連盟が管理する。優勝チームへ賞状を贈るため、訪れた。隣は「古豪」とも呼ばれる県立我孫子高の球場もあり、開放感がある。草の香りが漂う。そんな中、連盟の役員は「実はコロナの影響で、新入団員が減っているんです」と浮かぬ顔をした。
 3月まで勤務した神奈川県も高校野球への関心は、高い。ただ、人口の多い川崎や横浜など東部の学校は、専用球場がないところも多かった。市営球場を順に借り、選手たちは感触を確かめていた。
 県内の全球場を見て回ったわけではない。歴史や文化も違う街の事情を神奈川と比べるのは、乱暴とも言えるでしょう。ただ、新型コロナウイルスの感染者数が多い神奈川や東京を通り抜け、引っ越してきた身にとって、球場で見た風景はやっぱりうらやましい。連盟も感染予防に力を入れていると聞く。多くの少年が球場をかける姿を見たい。



朝日新聞柏支局長 斎藤茂洋

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