2021年2月の話題

過去の話題一覧

SDGsわが街の一歩①地球にやさしい農業
柏 千葉大「植物工場」で研究

 柏市の千葉大学柏の葉キャンパス(環境健康フィールド科学センター)。敷地内に「植物工場」があることをご存じだろうか。太陽光型が6棟、人工光型が4棟。よりよい世界をめざす「SDGs(エスディージーズ)」達成へ向けた研究が進められている。
 2011年度にスタートした農林水産省の「植物工場実証・展示・研修」事業の拠点だ。学内に設立されたNPO法人「植物工場研究会」が研究機関や企業と連携して、人と環境にやさしく、持続可能な農業を追求している。
 おなじみのビニールハウスに交じって、かまぼこ型の植物工場が目を引く。特殊発泡ポリスチレン(発泡スチロール)製の農業ドームだ。地震や台風などの自然災害に強く、高い断熱性と気密性による省エネ効果が実現できるという。石川県加賀市のジャパンドームハウスが運営している。
  同社の篠﨑学さん(49)によると、特殊発泡ポリスチレン製のドームハウスを手がけたのは約20年前。熊本県南阿蘇村にある系列のリゾート施設「阿蘇ファームランド」内でコテージとして使用するため、半球形のドームハウスをつくったのが最初だった。
 2016年4月の熊本地震で、南阿蘇村は震度6強を観測。阿蘇ファームランドも被災したが、約450棟のドームハウスに被害はなく、被災者の避難所になった。同年、農業ドームを開発。ビニールハウスに代わる用途や植物工場の建屋として活用されている。
  千葉大にある農業ドームは幅7・7㍍、長さ24㍍で、高さが4㍍。パーツをつなぎ合わせて設置するため、2㍍単位で長さが変えられる。ドーム壁の厚さは20㌢。外気の影響をほとんど受けないという。
 植物に最適な環境のなかで、LED照明による無農薬の水耕栽培が行われている。無菌状態の栽培室では葉物野菜がみずみずしく育つ。リーフレタス、小松菜、水菜、ルッコラ、サンチュの5種類。リーフレタスの場合、露地栽培だと60日かかるところが35~40日で収穫できるという。
 「気候変動に具体的な対策を」。SDGsが13番目に掲げる目標である。篠﨑さんは「深刻さを増す異常気象に対して、気候や災害に影響されない農業は強みになる」と話す。中東の砂漠地域や東南アジア、モンゴル、ロシアなど海外からの問い合わせや引き合いが相次いでいるそうだ。


 国連が2030年までに達成をめざす持続可能な開発目標「SDGs」。貧困の撲滅や気候変動対策など17分野の目標と、より具体的な169のターゲットを掲げています。地球規模の課題でも、はじまりは一人ひとりの「一歩」から。東葛各市での取り組みをシリーズで紹介します。

何の日?2006年2月15日
ワンガリ・マータイさん提唱
松戸市「もったいないの日」制定

「もったいない標語」授賞式の様子(2018年)

 ケニア女性初のノーベル平和賞受賞者の故ワンガリ・マータイさんが、環境を守る世界共通語として「MOTTAINAI」という言葉を広めることを提唱。その取り組みに感動した松戸市では早速、庁内に「もったいない運動推進本部」を設置。その縁でマータイさんが2006(平成18)年2月15日、松戸市を訪れ交流を深めた。同市では、その日を記念して「もったいないの日」を制定し、「ひと・もの・しぜんを大切にするまちづくり 感謝する心 謙虚な心 優しい心」を基本コンセプトに「もったいない運動」を推進している。
 もったいない運動推進市民会議も立ち上がり、毎年啓もう活動の一環として標語を募集。今年は「まちの中のもったいない」をテーマに700点超の意欲作が寄せられ、今月末、入選作品が決定する。

「もったいない」を「ありがとうに」
我孫子でフードドライブ

前回開催のフードドライブ=あびこショッピングプラザ提供

 家庭で余っている食品を持ち寄り、食品を必要としている人に無償で提供する「フードドライブ」が昨秋、あびこショッピングプラザで開催され、予想以上の反響に主催者は手ごたえを実感。次回は2月15日、16日の2日間、10時~16時の実施が決まった。
 初開催時は3日間で60人以上が食品を提供。米や菓子、レトルト食品、飲料など合計735点、244・5㎏が集まり、NPO法人アビィーズを通じて、生活困窮者や障がい者福祉施設、フードバンクちばなどに提供され、喜びの声が届いた。
 同プラザの島野祥子さんは「中には、わざわざ食品を購入して寄付してくださった方もいて、我孫子は優しい心を持った方が多い街だと感じました」と話した。参加者からは「もっと早く知っていたら捨てずに取っておいたのに」などの声も寄せられ、「フードドライブの活動を知っていただき、食べ物を大事にする意識づけの一歩になったと思います」と島野さん。「今後も継続していきたい。一緒にフードロスの問題について考えてみませんか」と次回の参加を広く呼びかけている。賞味期限が2カ月以上あり、常温保存ができる未開封の食品が対象だ。
 問い合わせは、同プラザ事務局の小田さん(090・1805・5169)まで。

話題の本 『なんとかせい! 島岡御大の置き手紙』
丸山清光著 文藝春秋企画出版部、1800円+税

 「明治の島岡御大」。畏敬と親しみを込めてそう呼ばれた明大野球部の故・島岡吉郎元監督(1911~89年)。生活のすべてを野球、選手教育にささげた同氏の「熱血銘言」をまとめたのが本書だ。
 著者の丸山清光さんは島岡御大の下で東京六大学野球リーグ優勝3回。主将・エースとして活躍した1975(昭和50)年には、あの江川卓投手を擁する法大を抑えて春秋連覇を果たした。卒業後は朝日新聞社に入社。販売畑を歩いた。
 丸山さんは冒頭、次のように記した。「IT全盛の令和の時代にも、その語録は生きている。野球の世界ばかりではなく、現代社会にも活用できる」。現代社会を「コロナ禍」に置き換えても、島岡語録の数々は腹にストンと落ちる。
 全国書店やインターネットで発売中。消費税、梱包費、送料の負担がない予約特別価格での注文も受けつけている。申し込みはメールhokkaido.shinshu@gmail.com

★2名様へプレゼント
 この本をご希望の方は、ハガキに住所、氏名、年齢、職業、電話番号、今月の紙面についてのご意見・ご感想を書いて、〒277-8691柏郵便局内私書箱46号朝日れすか「話題の本」係へ。

ASA柏文化サロン
ユーモア川柳教室 春の参加者募集中

 初めての方もご一緒に!

日時/2月16日(火)、3月16日(火)、4月20日(火)(毎月第3火曜日。全3回参加できる方)10時~12時
場所/ASA柏文化サロン(柏市柏2―8―13サンサンビル3F)柏駅東口3分
受講料/3000円(別途川柳の本代300円)
講師/佐竹明吟氏(柏市生涯学習指導員)
定員/8人(少人数制です)
 申し込みはTEL 04(7143)4021 れすか編集室(平日10時~17時)へ。

「コロナを吹き飛ばそう」
野田・岩木小で青空にバルーン

青空にバルーンを飛ばす子どもたち

 野田市立岩木小学校(縄田浩子校長、児童800人)で昨年12月12日、全校児童の「バルーン・リリース会」があった。日常生活に大きな影を落とすコロナ禍の中、児童が一人ずつ書いた「元気を出そう」などとのメッセージを風船に託し、青空に放った。
 この企画は「この1年、コロナで数々のイベントが中止になった。皆が一丸となってできるものとして考えた」(沖田真弥・PTA副会長)という。
 風船はPTAが児童、教職員分と予備の計900個を用意した。当日の朝、役員らが学校に集まり、手分けしてヘリウムガスで膨らませた。
 午前10時過ぎ、校庭に昨年初めてという全校児童が集まった。学年ごと、クラスごとに1列横隊となり「密集」に配慮し、メッセージ付き風船を受け取った。
 直後から「パン」という風船の破裂音があちこちから聞こえたり、手を滑らせて飛ばしたりで、先生やPTAの父母が対応に駆け回った。
 朝礼台に立った児童会役員が「私たちを見守ってくれている人に感謝し、コロナに苦しんでいる人に思いを届けましょう」と話し「届けー」との合図で全員が風船を放した。風船は優しい風に乗って、ゆっくりと上がり、南のほうに飛び去った。
 メッセージに「コロナに負けないで、みんなでがんばろう」と書いたという5年生の女児は「自由に外出できず、自宅勤務の方に元気になってほしい」と話していた。

開学40年祝う優良認定
柏シルバー大学院

柏シルバー大学院の運営を話し合う役員会議

 県生涯大学校の卒業生有志が立ち上げた「柏シルバー大学院」(山田輝雄学院長、学生735人)が40周年を迎えた。これを祝うように全国市民大学連合(一般社団法人学び・まちづくり推進機構)の第1期優良市民大学の「全国20選」に認定された。
 同大学院は1981(昭和56)年5月、県生涯大学校を卒業した80人が開学した。自主的に学習を続け、交遊の輪も広げて社会に順応、生きがいの高揚につなげよう︱︱が「建学の精神」。学生の自主運営で、年間学生1人当たり2万4千円の負担でまかなっている。
 市民大学は、行政や地域の大学がかかわるなど、様々な形で全国に3千前後あるといわれる。2016(平成28)年から活動の調査を続けている全国市民大学連合は昨年、第1期として同大学院を含む20団体を優良市民大学に認定した。
 同大学院は独自に学習機会を設け、運営資金も自ら捻出して活動している点などが評価された。
 入学者はまず3年制の「研究課程」で、協力団体の会議室などを会場に政治、経済、文学、歴史、時事問題、IT技術などを年間18日学ぶ。ほかに博物館、展覧会、演劇などの校外研修、全学生参加の合同研修に参加する。講師は約200人。
 現在、最高齢は95歳の男女、若手は63歳の女性で平均76・8歳。80歳の山田学院長は「手話の勉強がしたくて入学した。簡単なものはできるようになったし、いい仲間ができた」という。
 昨年はコロナ感染防止対策で、2月末からの講義、校外学習、クラス会などが中止となり、休学状態が続いている。
 山田学院長は「平年募集できるようになれば我孫子、印西方面の入学者増を進めたい」と話した。

2月13日(土)~流山本町ひなめぐり
切り絵行灯とともに

昨年の展示の様子

 江戸時代より白みりんと水運で栄えた街「流山」で、春を待つこの季節にふさわしい企画「ひなめぐり」が2月13日(土)から3月7日(日)まで開催される。
 6回目の今回は流山福祉会館をメイン会場に、商工会議所ロビーや一茶双樹記念館のほか銀行、森のアトリエ黎明、流山小学校体育館など、街角に吊るし雛や段飾りが飾られ、歴史ある街並み探訪と、ぶらり散歩にもおすすめだ。
 メイン会場では2月14日(日)14時~「本町ひなめぐり寄席」や、3月7日(日)14時~「はるうららコンサート」など、期間中多彩なイベントも目白押し。流山小学校体育館には6年生児童が制作したミニ行灯150基も登場する(21・27日)。主催は流山本町ひなめぐり実行委員会。詳細は、TEL04(7158)6111 同商工会議所百井さんまで。

野鳥保護40年をつづる
小学生211名の小鳥も展示

ハワイの野鳥の系統樹を説明する内山春雄さん

2月5日~我孫子市民プラザで
小学生211名の小鳥も展示

 バードカービングの第一人者、内山春雄さん(70)=我孫子市在住=の作品展「木彫りの鳥で野鳥を救おうとした男&我孫子の小学生211名の小鳥たち」が2月5日、我孫子市民プラザで始まる。鳥を彫り始めて40年の内山さんが、野鳥保護や学校教育などに生かした活動を小学生の作品とともに紹介する。
 内山さんは、1980年代に日本鳥類保護連盟(東京)が愛鳥教育に採り入れたバードカービングを始めた。元々、手先が器用で若い頃から学んだ天然木材に絵柄を埋め込み、絵画のようにする伝統工芸「木象嵌」(もくぞうがん)の技術も生かす。
 絶滅したオガサワラマシコ、絶滅危惧種のヤンバルクイナ、トキなどの作品をはくせいに代わる展示物として全国の博物館などに収めてきた。
 市内の小学校ではカービング教室を22年間続ける。作品づくりを通じ、野鳥の厳しい生息環境を説明し、保護の必要性を訴える。
 目の不自由な児童・生徒にはスズメ、キジバトなどの「タッチカービング」で鳥の形、大きさ、くちばしの違いを触って観察してもらう授業もする。
 会場には保護活動に活用しているアホウドリのデゴイなど、100点を超える作品やパネル資料、同市立我孫子第一、同高野山の小学生が作った小鳥211体が展示される。
 内山さんが2年半かけて作ったハワイの野鳥の進化を示す系統樹(直径0・9㍍)にある20羽が見もの。ツルは生まれて最初に動くものを親と思う習性があるため、くちばしの長い親の顔に似せた飼育員用の「ハンドパペット」も目を引きそうだ。
 内山さんは「40年間、カービングの可能性を探ってきた。美しく彫るだけでなく、保護活動や学校教育にも役立つことを知ってほしい」という。
 展示会は「あびこショッピングプラザ専門店会」(55店)主催。2月9日までで入場無料。問い合わせは事務局(090・1805・5169の小田さん)。

各界著名人がお祝い 我孫子市誕生50周年
小椋佳さんが「市民の歌」

白山中学校合唱部員と歌う小椋佳さん

 我孫子市市制施行50周年記念式典が12月23日、JR我孫子駅南口の「けやきプラザ」で開かれた。プロゴルフ、サッカー、ラグビー界のVIPやシンガー・ソングライターの小椋佳さんらが駆けつけた。小椋さんは40年ぶりに編曲し、歌い直した「あびこ市民の歌」を中学生と合唱し、市の誕生半世紀をお祝いした。
 星野順一郎市長は式辞で「先人の残した歴史、文化を継承し、物語が生まれるまちを次の代に引き継ぎたい」と述べた。
 地元出身のプロゴルファー青木功さんと市内の川村学園女子大学特任教授で作家の上橋菜穂子さんに名誉市民の称号が贈られた。
 青木さんは「我孫子でゴルフを通じて育ててもらった。市民の皆さんとゴルフをして長生きし、我孫子を守っていきたい」と応えた。 青木さんとともに出席した地元ゆかりのプロゴルファーの海老原清治さん、ラグビートップリーグチェアマンの太田治さん、日本サッカー協会会長の田嶋幸三さんら3人には市民文化スポーツ栄誉章が贈られた。
 フィナーレは小椋さんと同市立白山中学校合唱部員20人の「あびこ市民の歌」。小椋さんは「いまさら喜寿を迎える私の声でなくとも」と思ったが、初LP発表50年との縁を感じたという。
 会場には小椋さんのムードあるまろやかな歌声と中学生との世代を超えたハーモニーが響いた。
 同市は1970(昭和45)年7月1日、人口約5万人で県内22番目の市として誕生。手賀沼と利根川の自然豊かな住宅都市で現在の人口約13万2千人。7月1日に式典を予定したが、コロナ禍で延期していた。

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